歴史
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皿に盛ったセブのレチョン · 写真: EMMAN A. FORONDA / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

皿に盛ったセブのレチョン · 写真: EMMAN A. FORONDA / CC BY-SA 4.0 (Wikimedia Commons)

フィリピンセブ

セブのレチョン物語:タレなしで食べる豚の丸焼きはなぜセブの誇りになったのか

フィリピン中のお祝いの席に並ぶ豚の丸焼き、レチョン。なかでもセブ式は、お腹にハーブをたっぷり詰めて焼き、タレなしで食べることで知られています。タリサイとカルカルの違い、レチョン・ベリー、残り肉の料理までまとめました。

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レチョンという名前と、フィリピンの豚の丸焼き

レチョン(Lechon)はもともとスペイン語で乳飲み子豚を指す言葉です。ところがフィリピンでは意味が広がり、豚を丸ごと串に刺して炭火で焼く料理全般を指すようになりました。実際、フィリピンのレチョンは乳飲み子豚より、乳離れした豚や成豚で作ることの方が多く、スペイン式の子豚の丸焼きはコチニーリョ(cochinillo)と呼び分けます。 豚を丸ごと火で焼く習慣そのものは、スペイン統治以前からの土着の伝統だといわれています。今ではクリスマスイブの晩餐ノチェ・ブエナ、結婚式、誕生日、町の祭りの主役です。そしてフィリピンの人に「どこのレチョンが一番おいしい?」と聞くと、多くの人がセブと答えます。

セブ式の秘密:お腹に詰めるハーブ

セブのレチョンが他地域のものと一番違うのは、味を外からではなく内側からつけることです。豚のお腹にレモングラスをたっぷり入れ、ニンニク、青ネギ、ローリエ、八角などを一緒に詰めて縫い合わせてから焼きます。配合は家ごとに違い、門外不出にしている店も少なくありません。 GMAニュースによれば、豚は炭火の上で約5時間かけてゆっくり回しながら焼きます。その間にハーブの香りが肉の奥まで染み込み、皮は薄くパリッとしたガラスのように膨らみます。竹竿に刺した豚を炭火の前で延々と回す光景は、セブの道端でよく見かけます。

タリサイとカルカル:セブの中でも分かれる二つの名前

セブの中でもレチョンで名高い場所が二つあります。一つはセブ市のすぐ南のタリサイ市。GMAニュースが引用した地元の歴史家によれば、セブ最初のレチョン職人は1920年代のタリサイの人々で、当時はこの料理を「イナサル(inasal)」と呼んでいました。セブアノ語の「アサル」は炭火で丸ごと焼くという意味です。 もう一つはさらに南のカルカル市です。セブのレチョンは普通タレなしで食べますが、カルカル式は例外。焼いている間に豚の下に置いた器で肉汁を受け、酢や醤油などと合わせてつけダレにします。同じセブのレチョンでも、どちらの流儀が好きか聞いてみると話が弾みます。

なぜタレがないのか、そしてボーデインの一言

ほかの地方ではレチョンに別添えのソースをつけることが多いのですが、セブの人は「味はもう肉の中にあるからタレはいらない」と言います。ハーブをお腹に詰めて焼く方法がその理由です。それでも好みでスパイス入りの酢を添えることはあります。 セブのレチョンが世界に知られたのには、アメリカの料理人でテレビ司会者のアンソニー・ボーデインの影響もあります。旅番組『No Reservations』のフィリピン編でセブのレチョンを味わい、「今まで食べた中で最高の豚」と評しました。この言葉は今もセブのレチョンを紹介するときによく引用されます。

食べ方:まず皮から、レチョン・ベリー、そして残り肉

セブではレチョンをキロ単位で切り売りする食堂や市場の屋台が多く、丸ごと注文しなくても味わえます。皮は時間がたつとしんなりするので、出てきたらまず皮から食べるのがコツ。ご飯か、ヤシの葉で編んだ袋で炊いたご飯「プソ」を添えれば地元流です。 丸ごと一頭は多すぎるなら、豚バラ肉だけをハーブと巻いて焼く「レチョン・ベリー(レチョン・リエンポ)」もあります。1930年代に生まれたという話が伝わるほど歴史があります。宴会の後の残り肉は酢と醤油で煮込んで「レチョン・パクシウ」にしますが、セブ式は酸味より塩気が立ち、レバーソースはほとんど使わないそうです。

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