
トウモロコシの皮で包んで蒸したビナキ · 写真: Obsidian Soul / CC0 (Wikimedia Commons)
北ミンダナオのトウモロコシ蒸しケーキ「ビナキ」:カエル形の葉の袋に由来する名前、カガヤン・デ・オロの屋台おやつ
若いトウモロコシをすりおろし、皮に包んで蒸したビナキは、カガヤン・デ・オロとブキドノン一帯を代表するおやつであり、おみやげです。名前の由来、材料と作り方、セブの双子のおやつピントス、買い方と食べ方のコツをまとめました。
ビナキとはどんなおやつ?
ビナキ(binaki)は、若いトウモロコシをすりおろした生地をトウモロコシの皮で包んで蒸した甘いおやつです。北ミンダナオ、とくにカガヤン・デ・オロのすぐ内陸側にあるブキドノン(Bukidnon)を代表する食べ物とされ、カガヤン・デ・オロでも屋台のおやつ、郷土菓子としてよく見かけます。皮に包んで蒸すことから、英語では「甘いトウモロコシのタマレ」と紹介されることもあります。 ひと口かじると、きめ細かくもっちりした食感に、トウモロコシの香りとほのかな甘さが広がります。フィリピンの日刊紙フィルスターのカガヤン・デ・オロの食の記事では、その食感をコーンブレッドにたとえていました。温かくても、冷めて常温でも食べられるので、おやつやおみやげとして人気です。
名前の由来:カエル形の葉の袋
ビナキという名前の語源は、セブアノ語の「バキバキ(bakibaki)」で、カエル(バキ)の形に折った葉の袋を指す言葉だそうです。生地を皮で包んでふっくらと縛った姿を思い浮かべると、うなずける名前です。 北ミンダナオでは人通りの多い道端や市場でビナキを売る姿が見られ、ほかの地方へ持って行くパサルボン(旅のおみやげ)としてもよく買われます。ウィキペディアは、ビナキが北ミンダナオとセブの一部で屋台の食べ物や土産菓子として広く売られていると説明しています。つまりこのおやつは、地元の人の日常のおやつであると同時に、その土地を思い出させるおみやげでもあるのです。
材料と作り方
基本の材料は、若いトウモロコシの実をすりおろした粗いコーンミール、ココナッツミルク(または牛乳)、マーガリンかバター、白砂糖か黒糖、ベーキングパウダーです。家によってはココナッツミルクと砂糖の代わりに練乳を使ったり、まれにチーズを入れたりもします。 生地をスプーンですくってトウモロコシの皮にのせ、細長く包んでから、固まるまで蒸します。焼かずに蒸すので表面はしっとり、中はきめ細かく、皮の香りがほんのり移ります。ベーキングパウダーで少しふくらみますが、パンのようにふわふわというより、もっちりに近い食感です。材料がシンプルなぶん、トウモロコシの新鮮さが味を左右するおやつです。
よく似た親戚:ピントスとビヤキ
海の向こう、セブ島北部のボゴ(Bogo)には、ピントス(pintos)というほとんど同じおやつがあります。違いはおもに包み方です。ビナキは細長く包み、ピントスはもっと短い長方形に包んで、横にもひもを追加で結びます。ウィキペディアは、二つのおやつがブキドノンとボゴでそれぞれ別々に生まれたと説明しています。 ミンダナオ西部のマラナオの人々には、ビナキと同じ系統のビヤキ(biyaki)があります。トウモロコシは少しだけで主にすりおろしたキャッサバで作り、バナナの葉で包むことが多いため、別の料理とみなされます。トウモロコシの生地を皮で包んで蒸す点でメキシコのタマルに似ているとよく言われますが、ビナキは甘さが主役のおやつという点が違います。
買い方と食べ方のコツ
カガヤン・デ・オロとブキドノン一帯では、市場や道端のおやつ屋台、おみやげ店でビナキが簡単に見つかります。ふつうは何個かまとめて売られていて、蒸したての温かいものをその場で食べるのがいちばんおいしいです。 食べるときはトウモロコシの皮を広げて中身だけを食べ、皮は捨てます。移動中のおやつに便利ですが、蒸して作る生菓子なので、暑い中で長く置かずになるべく早く食べるほうが安心です。おみやげにするなら作った日を確かめ、移動時間を考えて買いましょう。濃厚なチョコレートドリンクやコーヒーともよく合うので、朝や午後のおやつに添えれば、地元の人のメリエンダ(間食の時間)の雰囲気を味わえます。