
紅しょうが・ごま・ねぎをのせた博多とんこつラーメン · 写真: vigorous_action / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)
博多とんこつラーメンの頼み方:バリカタと替え玉はなぜ生まれた?
博多のラーメン店に座ると、まず「麺の硬さは?」と聞かれます。白濁スープが久留米から広がった話、魚市場の長浜で極細麺と替え玉が定着した理由、そして迷わない注文の流れをまとめました。
白いスープの出発点は隣町・久留米
博多ラーメンを語るうえで欠かせないのが、福岡県南部の久留米です。1937年に久留米の屋台が澄んだ豚骨スープのラーメンを出したことが九州とんこつラーメンの始まりとされ、1947年ごろには同じ久留米で、スープを強火で炊きすぎて白く濁ったことが今の白濁スープにつながったという話が伝わっています。 福岡市内でも1940年代初めには中洲に豚骨スープの屋台があり、終戦直後の1946年前後から屋台やラーメン店が次々に開業しました。「博多ラーメン」という呼び名は1970年代後半に生まれたという説がありますが、はっきりしません。現在は久留米・博多・長浜ラーメンをあまり厳密に区別しないことも多いです。
魚市場・長浜が生んだ極細麺
1950年代に福岡の中央卸売市場(鮮魚市場)が博多湾に近い長浜へ移ると、市場の人々を相手にしていたラーメン屋台も一緒に移りました。これが「長浜ラーメン」のルーツです。 夜明け前から忙しい市場関係者には待つ時間がありません。そこで数十秒でゆで上がる極細のストレート麺が定着したといわれます。細麺は濃厚な豚骨スープがよく絡むという利点もあります。ただ細麺はスープの中ですぐのびてしまうため、最初から大盛りにする代わりに麺だけを追加する方式が生まれました。それが次に紹介する替え玉で、長浜がその発祥地とされています。2009年からは福岡県が開発したラーメン用小麦の普及も進んでいます。
麺の硬さはこう選ぶ
博多系のラーメン店では、注文時に麺の硬さを選ぶのが基本です。柔らかい順にバリやわ、やわ、普通、カタ、バリカタ、ハリガネ、粉落としと呼ぶ店が多く、ハリガネは「針金」、粉落としは「粉を落とす程度」という意味で、ほぼ生に近い段階です。選べる段階は店によって違うので、まずメニューを確認しましょう。 地元で人気なのはカタやバリカタ。2017年の西日本新聞の調査では、ある店の客の8割がカタを選んだそうです。初めてなら普通かカタから試すのがおすすめです。細麺は食べている間にもどんどん柔らかくなるので、一段階硬めに頼んでもすぐにちょうどよくなります。
替え玉の頼み方:スープは残しておく
替え玉は、スープはそのままにゆでた麺だけを追加で受け取る注文です。1杯目の麺をほぼ食べ終えたころに「替え玉、カタで」のように硬さも一緒に伝えればOK。店によっては券売機で先に買ったり、カウンターの札を出したりする方式もあります。 いちばん多い失敗は、先にスープを飲み干してしまうこと。追加の麺は残ったスープに入れて食べるので、おかわりするつもりならスープはたっぷり残しておきましょう。麺を足すほどスープが薄まるため、卓上のラーメンだれを少し足すよう案内する店もあります。半玉を用意する店もあり、量が心配なときに便利です。
卓上の薬味と、どこで食べるか
博多ラーメンの基本の具は、ねぎとチャーシュー程度と素朴です。その代わり卓上の薬味を好みで足す楽しみがあります。紅しょうがは豚の臭みを和らげるために添えられるようになったといわれ、白ごまは1958年ごろから入れ始めたという話もあります。辛子高菜も定番ですが辛さが強めなので、少しずつ入れてみてください。きくらげは海苔の値段が不安定だった時代に海苔の代わりとして広まったそうです。 食べる場所は、博多駅周辺や天神・中洲エリアにラーメン店が集まっており、夜は中洲の川沿いや天神の屋台街でもラーメンが味わえます。発祥の雰囲気を求めて長浜の市場周辺を訪ねる旅行者も多くいます。