歴史
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鹿児島のさつま揚げ(つけあげ) · 写真: Sakurai Midori / CC BY 2.5 (Wikimedia Commons)

鹿児島のさつま揚げ(つけあげ) · 写真: Sakurai Midori / CC BY 2.5 (Wikimedia Commons)

日本鹿児島

さつま揚げ、鹿児島では「つけあげ」:琉球から来たという甘い揚げかまぼこ

全国どこでも売られているさつま揚げですが、本場鹿児島では「つけあげ」と呼ばれ、味もはっきり甘め。琉球由来説と島津斉彬説、甘さの秘密である地酒、おいしい食べ方を紹介します。

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一つの料理に三つの名前

さつま揚げは、魚のすり身を塩や砂糖などで味つけし、形を整えて油で揚げた練り物です。関東など東日本では主に「さつま揚げ」、関西など西日本では衣をつけずに揚げているのに「天ぷら」と呼ぶことが多く、本場の鹿児島では「つけあげ」と呼ばれます。 薩摩は鹿児島の旧国名なので、さつま揚げは文字どおり「薩摩の揚げ物」という意味です。鹿児島では棒、四角、楕円、円盤などさまざまな形に作り、決まった形にせず手でちぎって揚げたものは「ちぎり天」と呼ばれます。

起源説:琉球の「チキアーギ」と島津斉彬

農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」によると、さつま揚げは江戸時代、島津斉彬が薩摩藩主だった頃に生まれたと伝えられています。起源については大きく二つの説があります。 一つは、紀州(現在の和歌山)のはんぺんやかまぼこの製法を参考に、高温多湿の薩摩の気候でも日持ちするよう揚げ物にしたという説。もう一つは、薩摩と盛んに交易していた琉球王国から伝わった魚のすり身の揚げ物「チキアーギ」がルーツだという説で、鹿児島での呼び名「つけあげ」はチキアーギがなまったものだと説明されます。どちらも言い伝えに近い話で、正確な年や考案者を断定するのは難しいところです。

甘さの秘密:豆腐、砂糖、そして灰持酒

鹿児島のつけあげを初めて食べると、ほかの地域の練り物よりはっきり甘いと感じます。農林水産省の資料は、すり身に水切りした豆腐や卵、片栗粉を混ぜ、砂糖と塩、地酒の灰持酒で味つけすることを特徴に挙げ、甘みこそ最大の特色だと説明しています。 灰持酒は清酒のもろみに灰汁を加えて搾る独特の酒で、鹿児島では料理酒としても使われます。魚はイワシ、アジ、トビウオ、シイラ、キビナゴなど、地元でよくとれる魚を何種類か混ぜることが多いそうです。もともとは豊富にとれる魚を無駄にせず保存するために生まれたのだろうという説明もあります。ニンジン、ゴボウ、シソ、レンコンなどの野菜を混ぜて食感や香りを加えることもあり、同じつけあげでも店ごとに味や歯ごたえがかなり違います。

祝いの料理から日常のソウルフードへ

農林水産省の資料によると、つけあげはもともと正月や祝い事のときに食べる特別な料理でした。今では毎日のおかずや酒の肴として食卓にのぼる、鹿児島の人のソウルフードになっています。そのまま食べるほか、ちらし寿司や煮物、なますに入れることもあります。 鹿児島県は2016年、地域の味を守るため28品の郷土料理を「かごしまの味」に選定しており、つけあげもその一つです。また2023年3月時点で、さつま揚げ98品が県の「ふるさと認証食品」に認証されているそうです。それだけ多くの業者がそれぞれの味を守って作っているということです。鹿児島にはつけあげの専門店がいくつもあり、揚げたての熱々を一つ二つ買って食べてみるのも旅の楽しみです。

おいしい食べ方と買い方

揚げたてのつけあげは、何もつけずにそのまま食べるのが一番。冷めたものはオーブントースターやフライパンで軽く焼いて温め直し、生姜醤油や辛子醤油を少しつけて食べるのが一般的です。農林水産省の資料では、薄切りにしたつけあげに玉ねぎとシソを添えてポン酢をかける食べ方も紹介されています。おでんの鍋に入れると、だしに甘みがしみてまた違ったおいしさになります。 鹿児島中央駅や天文館一帯の土産物店、デパートの食品売り場、空港で手軽に買え、市内のあちこちにその場で揚げて売る店もあります。居酒屋では郷土料理の肴としてよく出てきて、芋焼酎ともよく合います。魚の加工品なので要冷蔵で日持ちの短い商品が多く、お土産にするなら保存方法と期限を必ず確認しましょう。

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