歴史
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ジンギスカン用の羊肉と野菜 · 写真: Douglas Perkins / CC0 (Wikimedia Commons)

ジンギスカン用の羊肉と野菜 · 写真: Douglas Perkins / CC0 (Wikimedia Commons)

日本札幌

ジンギスカン:羊毛のために飼われた羊が北海道のソウルフードになるまで

真ん中が盛り上がった鉄鍋で羊肉を焼くジンギスカンは、札幌旅行に欠かせない料理です。実はチンギス・カンとは関係のないこの料理の名前の由来、北海道に羊が多かった理由、味付けと後付けの違い、おいしく焼くコツをまとめました。

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名前はチンギス・カン、でもモンゴル料理ではない

ジンギスカンは羊肉を鉄板で焼いて食べる日本の焼肉料理です。「チンギス・カンが陣中で兵士に作らせた」という話がありますが俗説で、実際のモンゴル料理とはかけ離れています。中国の羊肉料理「烤羊肉」から発展し、日本人向けに変化したものと見られています。 名前の由来にも諸説あります。源義経がモンゴルに渡ってチンギス・カンになったという伝説から付けられたという説、満州とゆかりの深い官僚が命名したという説などがありますが、後者は伝聞に基づくもので確かではありません。「成吉斯汗鍋」という表記は1926年の書籍で初めて確認されるといいます。

羊毛のために飼われた羊たち

北海道がジンギスカンの本場になったのには理由があります。1876年に札幌・真駒内に牧羊場が設けられ、1918年には軍服などに使う羊毛の自給を目指す「緬羊百万頭計画」が立てられました。この計画には羊毛を取ったあとの羊肉を食べてもらう狙いもありました。1924年には北海道が全国の羊の42.7%を飼う最大の産地になっています。 北海道でジンギスカンの専門店ができたのは1946年の札幌で、一般家庭に広まったのは第二次世界大戦後のことです。花見や運動会などの屋外で皆で羊肉を焼く「ジンギスカンパーティー」が広がり、今では北海道の人にとって最もなじみ深い集まりの料理になりました。

真ん中が盛り上がった鍋の秘密

ジンギスカンといえば、兜のように中央が盛り上がった鋳鉄の鍋です。表面には溝が刻まれていて、盛り上がった中央で肉を焼き、周りで野菜を焼く仕組みです。肉から出た肉汁が溝を伝って下の野菜に流れ、味が染みるように作られています。 野菜はタマネギ、モヤシ、ニラ、キャベツなどがよく使われます。タレには羊肉の臭みを抑えるため、すりおろしたリンゴやタマネギを加えることが多いです。「ジンギスカン鍋」という名前が生まれた当初は、今のような鍋ではなく火鉢代わりの網焼きだったといいます。鉄板焼きに近い料理なのに「鍋料理」に分類されることがあるのは、この鍋のためです。

先に漬けるか、焼いてから付けるか

ジンギスカンには大きく二つの食べ方があります。一つは焼く前に肉をタレに漬け込む「味付け」で、北海道中部の滝川周辺から道北に広まりました。もう一つは味の付いていない肉を焼いてからタレにつけて食べる「後付け」で、函館や釧路で主流です。 札幌や帯広では両方が一般的です。そのため札幌の店には、生肉を焼いてタレにつける店と味付け肉を焼く店が混在しています。北海道のスーパーで袋入りの味付けジンギスカンが売られているのも味付け文化のおかげです。2004年に北海道遺産、2007年に農山漁村の郷土料理百選に選ばれました。

ラムとマトン、おいしく焼くコツ

メニューには「ラム」と「マトン」が分かれているのが普通です。一般にラムは生後1年未満の子羊、マトンはそれ以上の羊の肉で、ラムは柔らかく臭みが少なく、マトンは歯ごたえと風味が濃いのが特徴です。羊肉が初めてならラムから始めるのが無難です。 焼く順番も覚えておきましょう。まず周りに野菜を敷き、真ん中の盛り上がった部分に肉をのせます。羊肉は焼きすぎると硬くなるので、色が変わったらすぐ食べるのがおすすめです。煙やにおいが服に付きやすいため、上着を入れるビニール袋やエプロンを出してくれる店も多くあります。札幌ではすすきの一帯にジンギスカンの店が特に多く集まっています。

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