
札幌のチキン野菜スープカレー · 写真: pelican from Tokyo, Japan / CC BY-SA 2.0 (Wikimedia Commons)
スープカレー:札幌の喫茶店の薬膳カレーから始まった一皿、注文から食べ方まで
とろみのある日本のカレーとは違い、さらっとしたスパイスの効いたスープに大きな鶏もも肉と野菜が入るスープカレーは札幌生まれ。いつどのように生まれたのか、なぜ2000年代に急増したのか、初めてだと戸惑いがちな注文方法と食べ方をまとめました。
喫茶店の「薬膳カリィ」から始まった
スープカレーの起源としてよく挙げられるのは、1971年に札幌のある喫茶店が出した「薬膳カリィ」です。生薬とスパイスを使ったさらっとしたカレーで、1975年頃に客の要望で鶏もも肉を丸ごと入れるようになり、続いて大きなニンジンやピーマンも加わったといいます。今のスープカレーの基本形がこのとき整ったわけです。 1980年代にはスリランカ風のカレーや個性的なスパイスカレーを出す店が札幌に少しずつ増えました。ただ、この頃はまだ「スープカレー」という名前はなく、店ごとに独自のカレーを出している段階でした。
「スープカレー」という名前と2000年代のブーム
「スープカレー」を商品名として初めて使ったのは、1993年に札幌市白石区で開業した店で、この店は自ら元祖を名乗っています。そのため「元祖」をめぐっては、1971年の薬膳カリィを挙げる人と1993年の名前を挙げる人に分かれます。 店が急増したのは1999年頃からです。2002年に出た札幌のカレー店約100軒を紹介するガイドブックは3万3千部を売り上げ、2003年に横浜のカレーのテーマ施設へ札幌の店が出店したことで全国に知られました。北海道出身の人気俳優がスープカレーを広めたこともブームを後押ししたといわれます。2012年頃には札幌のスープカレー店は200軒を超えていました。
スープと具を別々に作る料理
スープカレーが普通のカレーといちばん違うのは作り方です。とろみのあるカレーは具材を一緒に煮込みルウでとろみをつけますが、スープカレーはスープと具を別々に調理して器で合わせます。そのため野菜が煮崩れず、一つひとつの形と食感が生きています。 もともとの主役は鶏もも肉でしたが、今では豚肉や羊肉、魚介も一般的です。ジャガイモ、ナス、オクラ、レンコンなど焼いたり揚げたりした野菜が大ぶりに入るのが普通で、一皿で北海道の野菜をたっぷり味わえます。スープも店ごとに違い、トマトベースのもの、仔牛の出汁を使いバジルオイルを垂らしたものなど個性豊かです。
初めてだと戸惑う注文方法
スープカレーの店では、メニューを一つ選んで終わりではないことが多いです。一般的には①メインの具(チキン、野菜、豚肉など)②スープの種類③辛さ④ライスの量⑤トッピング、の順に選ぶ仕組みになっています。 いちばん注意したいのは辛さです。多くの店が数字で段階を分けていますが、基準は店ごとにまったく違い、ほかの店の「3」と同じだと思ってはいけません。辛いものに自信があっても初めての店では中くらい以下にして、物足りなければ卓上のスパイスを足すのが安全です。トッピングにはチーズ、卵、納豆、季節の野菜などがあり、ライスにレモンが添えられる店も多くあります。
食べ方とどこで食べるか
スープカレーはライスとスープが別々に出てきます。決まりはありませんが、地元ではスプーンでライスをすくい、スープに軽く浸して食べる方法が一般的です。ライスを一度にスープに入れるとすぐふやけてしまうので、少しずつ浸すほうが最後までおいしく食べられます。チキンはスプーンとフォークで身が簡単にほぐれるほど柔らかく煮込まれていることが多いです。 札幌ではスープカレーの店が市内のあちこちにあり、札幌駅や大通周辺、すすきの一帯のどこでも見つけやすいです。人気店は昼どきに行列ができやすいので、少し早めか午後遅めに行くと待ち時間が短くなります。寒い冬はもちろん、スパイスのおかげで夏にも好んで食べられる札幌の日常食です。