歴史
1 / 3
炭火で焼いた仙台の牛タン · 写真: Sakurai Midori / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)

炭火で焼いた仙台の牛タン · 写真: Sakurai Midori / CC BY-SA 3.0 (Wikimedia Commons)

日本仙台

仙台牛タン:戦後の一軒から始まった炭火焼き、麦飯とテールスープ定食の秘密

厚切りで塩味をつけた牛タンを炭火で焼き、麦飯、テールスープ、南蛮味噌漬けと一緒に出す仙台の牛タン定食。1948年ごろ一軒の店から始まった歴史、定食の組み合わせの由来、ほとんどが輸入品である理由、注文のコツをまとめました。

6分で読める6

仙台といえば牛タン

宮城県仙台を代表する食べ物を一つ挙げるなら、多くの日本人が牛タン焼きと答えるでしょう。焼肉店で薄切りをさっと焼くタンと違い、仙台の牛タンは厚めに切って切れ目を入れ、下味をつけて寝かせてから炭火で焼くのが特徴です。噛むと弾力がありながらさくっと切れる食感に、炭火の香りが重なります。 仙台市内には牛タン専門店がとても多く、それらの店でつくる「仙台牛たん振興会」には100店以上の専門店が加盟しているといいます。仙台駅には牛タンの店が集まるエリアがあるほどで、駅弁やおみやげにも牛タンは欠かせません。仙台を旅すれば一度は必ず食べることになる料理です。

戦後の一軒から始まった歴史

仙台で初めて牛タン焼きを出したのは、ある飲食店の店主・佐野啓四郎とされています。時期は資料によって1948年と1950年の二つがあり、1948年はその店の開店年、1950年は牛タンがメニューに載った年だといいます。店は1952年に仙台の繁華街・稲荷小路へ移り、牛タン専門店になりました。 一軒の店のメニューだった牛タンが地域の名物になったのは、それよりずっと後のことです。1980年ごろ別の牛タン店が2号店を開く際に「仙台名物」をうたい、1982年には宮城県と仙台市の観光課や商工会議所が、牛タン焼きを仙台名物として広めるよう元祖の店に要請したといいます。その後専門店が増え、今の「牛タンの町」仙台になりました。

麦飯・テールスープ・南蛮味噌漬け:定食の秘密

仙台の牛タンは、ふつう「牛タン定食」で注文します。炭火で焼いた牛タンの横に、麦飯、牛の尾をじっくり煮込んだ澄んだテールスープ、青唐辛子を味噌に漬けた南蛮味噌漬け、浅漬けが添えられるのが定番の組み合わせです。 この組み合わせには由来があります。麦飯、浅漬け、南蛮味噌漬けの組み合わせは、食糧難の時代の事情と、元祖の店主の出身地である山形県の料理に由来するとされます。米が貴重だったころ麦を混ぜたご飯は自然なことで、ピリッと辛い南蛮味噌漬けは牛タンの脂をすっきりさせてくれます。そこに牛の尾で作るスープが加わり、今の定食の形になりました。

塩味と熟成、そして輸入品の話

仙台の牛タンの基本は塩味です。タレや味噌味を出す店もありますが、塩味が圧倒的に多いとされます。下味をつけた牛タンを数日間冷蔵庫で寝かせて味をなじませてから炭火で焼き、レモン汁はつけません。塩と炭火の香りだけでタンそのものの味を楽しむのが仙台流です。 意外な事実もあります。仙台で使われる牛タンのほとんどは輸入品です。国産は量が少なく仕入れ値が高いのでほとんど使われず、主にアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド産で、近年はフランス、イタリア、アイルランドからも輸入されています。そのため2001年の国内のBSE問題と2003年の米国のBSE問題では専門店が大きな打撃を受け、それをきっかけに先の振興会が発足したといいます。

どこで食べる?注文のコツ

仙台駅構内の牛タン店が集まるエリアは、着いてすぐや帰る直前に寄りやすいのでいつも混み合っています。中心街の一番町や国分町界隈にも専門店が多いので、駅が混んでいるときは街に出てみるのも手です。昼どきや夜は行列ができる店が多くあります。 注文は、定食で牛タンの量を選ぶ方式がほとんどです。店によって「何枚何切」のように表記しているので、メニューで量を確かめて選びましょう。麦飯のおかわりができる店もあります。食べるときは、牛タンを一切れ食べて南蛮味噌漬けを少し添えると味のバランスがよくなります。南蛮味噌漬けはかなり辛いので、最初はほんの少しにしてください。牛タンの串焼きや煮込み、ソーセージなどの一品料理を出す店もあり、真空パックの牛タンはおみやげとして人気です。

#牛タン#牛タン焼き#仙台#宮城#麦飯
仙台牛タン:戦後の一軒から始まった炭火焼き、麦飯とテールスープ定食の秘密 | TastyLog