
松の実スープの松の実麺 · 写真: pcamp / CC BY 2.0 (Wikimedia Commons)
加平の松の実:高さ30mの木から手で摘む香ばしさ、松の実麺と松の実粥の話
ソウルから1時間ほどの京畿道加平は、韓国最大の松の実の産地として知られています。松の実がどう実り、どう収穫されるのか、加平の松の実が有名になった背景、松の実麺や松の実粥などの料理、チョウセンゴヨウの森の楽しみ方をまとめました。
松の実はどう実るのか
松の実はチョウセンゴヨウ(学名 Pinus koraiensis)の種です。アカマツに似ていますが、アカマツの葉は一束に2本、チョウセンゴヨウは5本なので簡単に見分けられます。チョウセンゴヨウの球果は松ぼっくりよりずっと太く細長く、「チャッソンイ」と呼ばれ、そのうろこの間ごとに硬い殻に包まれた松の実が入っています。 一つの球果から取れる松の実は、殻をむいて薄皮まで取ると量がわずかなので、昔から貴重な食材とされてきました。韓国料理では松の実を丸ごと飾りにのせたり、細かく挽いて粥やスープ、ソースにコクを加えたりします。スジョングァ(シナモン入りの飲み物)やシッケの上に松の実を数粒浮かべるのもおなじみの光景です。
加平が松の実の里になった理由
加平郡は郡の面積の80%以上が山林で、そのかなりの部分がチョウセンゴヨウの森です。2013年の報道によると、加平のチョウセンゴヨウの造林地は2万5千ヘクタール余りで、加平の松の実が全国の松の実生産量の約40%を占めていました。気温が低く標高の高い山間部で育つため、粒が大きくつやがあると評価されています。 歴史の記録にも加平と松の実の縁が見られます。15世紀に完成した『世宗実録地理志』や18世紀の地図集『海東地図』に、加平の特産物として松の実が記録されていると紹介されています。加平の松の実は2009年に山林庁の地理的表示林産物に登録され、2011年には加平が松の実産業特区に指定されて、松の実を地域の代表産業として育てています。
高さ30mの木の上で手摘みする収穫
加平の松の実が貴重な理由の一つは収穫方法にあります。松の実は樹齢30年以上、高さ25〜35mに達するチョウセンゴヨウのてっぺん付近に実り、この球果を人が直接木に登って手で摘む方法だけで収穫すると紹介されています。機械で振り落とすのが難しく、熟練した人の手が欠かせない仕事です。 収穫は秋に行われ、摘んだ球果を乾かしてから叩いて殻付きの松の実を集め、さらに殻を割って中身を選り分けます。このように手間のかかる工程を経るため、松の実は同じ重さのほかのナッツより値段が高めです。加平では殻付きの「ピジャッ」と殻をむいた「ペクチャッ」のどちらも買うことができます。
松の実麺と松の実粥、加平の松の実料理
加平を代表する松の実料理は松の実麺(チャックッス)です。松の実を細かく挽いて作った白いスープに麺を入れて食べる料理で、スープだけでなく麺の生地にも松の実の粉を混ぜるのが特徴と紹介されています。豆乳麺(コングクス)に似ていますが、より濃厚で香ばしく、冷たくして食べる夏の名物として特に人気です。加平のある食堂の主人が30年ほど前に初めて考案したとされています。 松の実を米と一緒に細かく挽いて炊いた松の実粥(チャッチュク)は、なめらかで香ばしく、昔から体が弱ったときに食べる滋養食とされてきました。加平では松の実入りのマッコリも造られており、松の実麺に松の実マッコリを合わせる旅行者も多くいます。松の実入りの豆腐やムク、お菓子などの加工品もお土産として人気です。
チョウセンゴヨウの森の旅と買い物のヒント
加平の松の実の里を肌で感じたいなら、祝霊山のふもと(上面・照宗面)にあるチャッヒャンギ青い森を歩いてみてください。標高450〜600mに約5万本のチョウセンゴヨウが森をなす国内最大規模の森で、1930年代初めに良い種を得るための採種林として造成され、2014年に一般公開されました。子ども向けコースから4km余りの大人向けコースまで散策路があり、月曜日は休みです。 松の実を買うときは、加平の地域農協や松の実加工業者の売り場、地理的表示のある製品を選ぶと安心です。松の実は油分が多く常温に長く置くと酸化しやすいので、買ってきたら密封して冷蔵か冷凍で保存するのがよいでしょう。加平はソウルから京春線の電車やITX-青春で行けるので、南怡島や紫羅島と組み合わせた日帰り旅行としても人気です。